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コラム

第十一回 「大阪オートメッセ2020」

極!石田塾

2020.03.10

新型コロナウイルスの影響でどうしても気分が落ち込みがちですが、そんなときは良い音で音楽を聴いて気晴らしが一番。音楽を聴いてリラックスすれば身体の免疫力が高まって、もしウイルスに感染しても軽症で済むという説もあります。「コロナウイルスは爆音で音楽を聴くと死滅する!」と言ってい人もいましたが(笑)。そんなデマはともかく、情報に振り回されることなく、正しい情報を精査して正しく対策すれば、必要以上に怖れることはないと思います。

さて、今回は新型コロナウイルスがこれほど大事になる直前に行われた大阪オートメッセ2020のレポートです。実は今年はコロナウイルスがあったので、行くのを止めようかと考えていました。しかしオートメッセは数あるカスタムカー系のイベントの中でも、もっともカーオーディオ関連のブースが出展するイベント。やはり、行かないわけにはいきません。そこでイベント前日の2月13日、急に行くことに決めて新宿から大阪行きの夜行バスに飛び乗ったわけです。

早朝、大阪・梅田のバスターミナルに着き会場のある大阪南港のインテックス大阪へ移動。プレス登録を済ませて、まずはアルパイン・スタイルがある2号館へ。展示内容はほとんどオートサロンと同じで、規模を少し抑えたためか身近に感じる造りになっていました。一説では3000万円かかっているというコンセプトカーも普通に置いてあって、気取って近づくのも憚ったオートサロンとは違い、フレンドリーな感じです。

フルモデルチェンジしてハイレゾに対応したカーナビ、ビッグXも多数展示していましたが、やはり試聴は無理でしたね。これは、おいおいデモカーを借りてレポートしたいと思っています。今月半ばにはデモカーを予約したので、なにかの機会にレビューできると思います。

その隣にはイース・コーポレーションと数店のショップがまとまって展示しているE;STEEMのブースがありました。が、イベントがオープンして間もない時間帯だったので、まだ準備中(笑)。見せることをメインとしていて試聴を考えていないクルマも多かったので、早々に立ち去りました。カーオーディオクラブのクルマなどは、室内が赤くライトアップされていてインスタ映えすること確実。室内全体をウッド仕様に仕上げたファンメリーのクルマも独特の仕上がりでした。

さて、場所は移ってメインの6B館です。ここにはダイヤトーンを始めカーオーディオ系のメーカーからインポーター、ショップまで数多くのデモカーが集まっています。数年前からパイオニア(カロッツェリア)が消え、今年はクラリオンやオーディオテクニカも出ていないので数は減りましたが、それでもトライム、ジャンライン&パートナーズ、エムズラインなど、約15台のデモカーが展示されていて、聴き応えは十分です。

その中で、個人的に最も音が好みだったのがトライムのデモカーです。これはAVカンサイが製作したもので、一般ユーザーのクルマを借りてデモ展示していたもの。スピーカーはブラムのシグネチャー・マルチックス・シリーズの3ウェイ・システムをフロントに使い、これにオーディソンのサブウーファーを加えたもの。パワーアンプはシンフォニー・クワトロリゴで、プロセッサーはヘリックス。音楽再生にはDAPを使用していました。もちろんハイレゾ音源です。

このクルマ、Aピラーに装着したツィーターとミッドレンジの取り付け角度が特徴なんですが、このセッティングが音場の広さと奥行き、定位を上手く創り出している感じです。このあたりはショップのノウハウなんでしょうね。また、ブラムのスピーカーの良さ。以前、試聴した時は2ウェイで、そのツィーターの再生レンジの広さから、2ウェイで十分と思っていたのですが、ミッドレンジが加わるとヴォーカルの生々しさが違います。このミッドレンジ、すごく良さそうです。

ジャンライン&パートナーズはモレルの試作品スピーカーを急遽取り寄せ、デモカーに装着していました。クルマに付いているのは世界でこれ1台だけだそうです。このElate Carbon PRO603というスピーカー、価格も発売時期もまだ不明ですが、優しく密度感があり厚みのある音はポテンシャルの高さを感じました。ただ、パワーアンプがモレルの6万円台のものだったんですね。これがもっと良いアンプだったら…。いずれにしてもポテンシャルの高そうなスピーカーです。

エムズラインのデモカーはブラックスDSPを搭載し、さすがの音を出していました。82万円と高価ですが、音も素晴らしいです。とくにブラックスのアンプ、Matrix MX4PROと組み合わせたときの音は凄いの一言。予算がいくらでも使える人なら、良い選択だと思います。ただし今回はグラフィック・シリーズのアンプだったんですよね。それが少し残念です。

またザプコのDSPやヘリックスのDSP ULTRAを聴けるのかと思っていましたが、残念ながら展示のみ。ただしザプコのDSPはショップのデモカーで聴くことができました。

ザプコのDSPを搭載していたのはジパングとAVカンサイのデモカー。AVカンサイのデモカーは普通に音が出ていましたが、ジパングのデモカーは残念ながらUSBを挿しても音が出ていませんでした。これはショップのミスというわけではなくDSPの個体の問題のよう。その前はしっかりと音が出ていたそうで、なぜか急に音が出なくなったようです。また曲名などの文字も化けてしまうので、安定するにはまだまだ時間がかかりそうです。ということで、導入を考えている人がいたらバージョンアップして安定するまで待ったほうが良いかもしれません。

ダイヤトーンのデモカーは、いつものダイヤトーン・サウンド・ナビにDS-G300を組み合わせたC-HRとDS-SA1000を組み込んだメルセデス・ベンツAクラスの2台です。音はクリーンでクリア。どちらもダイヤトーンらしい良い音なんですが、2年前までは毎年、このイベントで何かしらの新製品や試作品をお披露目していたので、その点では少し寂しい限りです。早い新製品の登場を願いたいものです。

このように、今回はデモカーも減っていたし試聴可能な新製品も限られていたので、はたから見たらちょっと残念な気もするんですが、音が良いデモカーが多かったのは収穫。DSPが進化したと同時に、ショップのチューニングに対する理解度が進んだのが要因でしょう。以前は、サブウーファーのタイムアライメントがずれていて気持ち悪い音のものが多かったんですが、今回はそんなクルマは無し。メーカーのデモカーよりも、ショップのデモカーのほうが音が良いクルマが多かったのも初めてのことでした。

これは数多くのコンテスト系カーオーディオイベントが効いていると思われます。個人的には、音楽はもっと自由に聴いて欲しいと思っているし、けっきょくは審査員の好みに左右されるので、個人の参加者を集めて順位を決めるコンテストに意味があるのか? とは思っていますが、ショップの技術向上には大きく貢献しているのが、コンテスト系のイベント。その点、コルトレーンはかつて行われていたパイオニア・カーサウンド・コンテストで上位入賞の常連なので、安心して取り付け&チューニングをお願いできますね。

いずれにしても、これまでのカーオーディオ(とくにコンテスト系)は音像の定位やステージング等が重視されていて、音楽本来のダイナミックさとか楽しさを感じない箱庭的な音場のものが多く、それがカーオーディオ的だと認識されていたのですが、今回のイベントではそのようなクルマを展示していたのはむしろメーカーのほう。ショップが出展していたデモカーにはホームオーディオ的なバランスや音場を持つものが多く、ショップの進化を感じます。

同時に、カーオーディオで良い音を得るにはショップ選びが大事なこともつくづく感じました。コルトレーンは今回のイベントには無関係ですが、かつてのパイオニア・カーオーディオ・コンテストでの実績があるので、心配ないと思います。もともとホームオーディオ的な音のバランスで、チマチマした音場ではなくダイナミックなサウンドを表現するのが得意なお店でしたから。とりとめのない話になってしまいましたが、今年のオートメッセの感想でした。

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