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コラム

第十二回「サウンドチューニングについて」

極!石田塾

2020.04.06

新型コロナウイルスが猛威を振るい、外出を自粛している人も多いことでしょう。僕も3月中旬以降、不要不急の外出は控えて家にじっとしていることが増えています。無症状の感染者が多いことが明らかになっている今、自分が染らないことも大事ですが、まずは人に染さないと考えることが重要と思うからです。まずは自分が感染しているかもしれないと思い、どうすれば人に染さないようにするかを考えること。それが感染を拡げないもっとも有効な手段だと思っています。

とはいえ、じっと籠っているだけだと心が滅入ってしまいます。幸い、クルマの中は比較的パーソナルな空間で感染のリスクは少ないし、クルマの中で過ごしているぶんには人に染す心配も要りません。この新型コロナウイルスの脅威をチャンスと捉え、自身のカーオーディオの音をじっくり見直してみてはいかがでしょうか。というわけで、今回はサウンド・チューニングの話です。

カーオーディオをグレードアップしている人なら、最近はDSPを搭載した機器を積んでいるという人が多いことでしょう。そんな人なら細かいチューニングは比較的簡単にできます。DSPに搭載されているサウンド・チューニングの項目は大まかに3つ。クロスオーバー、タイムアライメント、イコライザーです。

コルトレーンのような信頼できるお店でインストールをお願いしたなら、セッティングもしっかりしていると思うので、クロスオーバーやタイムアライメントをいじることはしないほうがいいと思いますが、問題はイコライザー。セッティングしてから時間が経つにつれて、スピーカーがこなれてきて音が変化するし、聴いている側の耳も進化してきて、最初は「素晴らしい」と思っていた音にも慣れてくるからです。

そんな時は、イコライザーをいじって好みの音に近づけるのはいかがでしょう。本来なら、フラットな状態から始めるのが良いのですが、ここはお店でセッティングしたチューニングがあるのでそれをベースにしてアレンジしていくことで、より好みの音に持っていくという方法が良いでしょう。

そのためには、まず最初のセッティングをしっかりと記憶しておくこと。DSPの多くはメモリー機能を持っているので、チューニングに失敗して音がグチャグチャになってしまっても簡単に戻すことができますが、何度もチューニングを試みてそれをメモリーしたりしていると、最初の状態がどうだったか分からなくなってしまうこともあります。そして、チューニングに失敗してグチャグチャの音になることはよくある話。そんな時に、元に戻せない状況にならないように、ベースのセッティングは紙に書いて記録しておきたいものです。

その準備ができたところで、イコライザーの調整に入ります。たとえばヴォーカルをもう少し際立たせたいなあと思った時。この場合はヴォーカルの帯域を直接イコライジングする方法の他に、ヴォーカル以外の楽器をすっきりさせてヴォーカルを際立たせるという方法もあります。声をもう少し太くしたいなぁと思った時は、ヴォーカル帯域を直接イコライジングするのが良いと思います。600Hzとか800Hzから2kHzあたりでしょうか。このあたりを0.5dBとか1dBくらい上げると、ヴォーカルが太くグッと前に出てくると思います。

やり方としては、けっして一気にあげないこと。ひとつの周波数ずつ、まずはひと目盛りずつ上げてみては戻して、どっちが良いかを比べながら決めていって、調整する周波数を徐々に拡げていけば良いでしょう。注意したいのは音色の変化。このあたりの周波数は、ちょっといじっただけで音色が大きく変化するので、元々の音色が変わらないことに注意しながらイコライジングを行なっていきたいものです。

この時に、声がこもりがちになる場合もあります。そんな時は、もっと低い周波数をちょっと下げてスッキリさせる手もあります。250Hzとか400Hzあたりでしょうか。また4kHz〜8kHzあたりの周波数を少し上げてやれば、声がクリアになる場合もあります。さらに子音を強くして声のヌケをさらに高めたい時は、それよりもさらに高い周波数を上げてやれば良いでしょう。12kHz〜16kHzあたりでしょうか。ヴォーカル好きの人なら参考にしてみてください。ただし、調整するのはせいぜい1dB程度まで。それ以上のアップダウンは音色を変えてしまいおすすめしないので、あくまでも微調整と考えてください。

低音をもっとガツンと鳴らしたいなら、低い周波数を上げていきます。31.5Hz〜250Hzあたりまででしょうか。ただし120Hz以上は楽器の音色にも影響する場合が多いので、このあたりの上げ下げは控えめにしてください。また200Hz付近では定在波が発生して、上げ下げしてもそんなに変わらない場合もあるので、もし上げ下げしてあまり変わらないようだったらすっぱりとその周波数の調整は諦めましょう。諦めも大事です。

低い周波数は耳の感度が弱いので、思いっきり上げても大丈夫です。それでもせいぜい2〜3dB程度でしょうか。これくらい上げるとグッと低域の迫力が増してくると思います。ただし同時に音がモコモコしてクリアじゃ無くなることもあるので注意。この場合は4kHzよりも高い周波数を上げていくとクリアに聴こえてくるので試してみると良いでしょう。ただし、周波数バランスとしてはドンシャリの音になるので、ハイファイ志向の人にはお勧めしませんが。ダンス系の音楽を好んで聴く人には良いかと思います。

また、音がこもってしまうのには、スピーカーの低域再生能力も関係しています。いくら低音を持ち上げたとしても、その再生能力がスピーカーになければ音にはなりません。ただ低音が持ち上がってふくれるだけで、ボワボワしてしまうのです。これがこもる原因にもなります。

これを改善するには、31.5Hzなどの低い周波数を思い切って下げてしまうのも一案。こうしてスピーカーへの負担を減らしてやることで、スッキリとタイトな低音に変わる場合もあります。このあたりは、それぞれのシステムによって変わってくるところなので、まずは自分のシステムでいろいろと試行錯誤してみることが重要です。

基本的にはお店でチューニングしてもらうのが最も確実で安心できる方法ですが自粛によって外に出づらい今の時期は、自分でマイカーのシステムや音をじっくりと考えてみる良い機会でもあります。こんな時だから、自分のクルマのシステムをあれこれいじってみて、音に対する理解を深めてみるのも良いかもしれません。

そしてもうひとつ大事なことは、クルマの中だけではなく他のシステムでよい音で音楽をよく聴くこと。クルマの中だけで聴いていると、それが良い音なのかどうなのか分からなくなることも多く、その耳でチューニングすると、とんでもない方向へいく可能性もあるからです。

そうならないためにも、家にリファレンスと呼べるシステムを置いて、普段から良い音に馴染んでおくのが理想なのですが、そうもいかない場合はヘッドホンでもいいし、友人の自宅やクルマでも良いと思います。自分のクルマ以外にきちんとした音で音楽が聴ける状況を持っておくことが、音の良いクルマを作り上げる秘訣。けっして何百万円、何千万円もするようなハイエンドなシステムではなくて良いので、自分で「居心地が良い」と思えるような音がする環境をぜひ整えてください。

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