第二十四回「音楽好きですか?」
極!石田塾
2021.04.10
今年に入って、かつて、いや今でも好きだった日本人のミュージシャンが、次々と亡くなりました。村上ポンタ秀一さん、和田アキラさん、南正人さん…。人は必ず死ぬとはいえ、かなりショックです。
とくに、中学〜高校の頃、ギター小僧だった僕からすると、和田アキラさんが亡くなったのは大きな衝撃。当時、フュージョンはクロスオーバーと言われていて、確かクロスオーバーからフュージョンに切り替わる境目だったと思います。今聴くとロックというかプログレっぽくもあり、フュージョンという枠にははまらない演奏でしたよね。とくに初期の鈴木徹(リカ)さんのドラムスが大好きです。
でも実はその頃、プリズムよりもハマっていたバンドがあったんです。が、どうしても名前を思い出せない…。たしか、なんとかウインドだったよな。ホークウインド? いや違う…。とインターネットを駆使して調べた結果、ようやく思い出しました。クロスウインドです! しかしインターネット、便利ですね(笑)
クロスウインドはたぶん当時のFM放送の深夜番組で見つけたと思います。クロスオーバーイレブンとかですかね。その時は、とにかく衝撃的でした。ギター小僧の僕は(笑)当時、ジェフ・ベックのブロー・バイ・ブローとかワイヤードなんかを聴いて、必死に速弾きのコピーをしていたんですが、日本にもこんなギタリストがいるんだ! と、すぐにレコード屋へ走りました。残念ながら在庫がなかったため、デビューアルバムの「CROSSWIND」を注文してもらったんですが、その後、好きな時に好きな音楽を聴けるだろうと、レコード屋でバイトすることにしたものです(笑)
クロスウインドのことをもう少し詳しく説明しておくと、ギタリストの小川銀次さんを中心としたバンドです。銀次さんはRCサクセションにも在籍し、久保講堂でのライブ「RHAPSODY」にもサポートとして参加しているので、ロック好きの人もご存知かもしれませんね。当時、テレビ出演した映像もYouTubeに上がっています。
で、当時はアナログレコードをカセットテープにダビングして、何度も繰り返して聴きながら必死に演奏をコピーしていたんですが、まったくコピーできません(笑)。最大の理由は腕が追いついていないということに尽きるんですが(笑)家のステレオセットだと、音がグチャっとこんがらがっていて、細かい音が聴き取れないんですね。特に速弾きの部分だと。
当時、僕の父は国鉄職員で転勤を繰り返していたため、国鉄宿舎に住んでいました。6畳の居間と8畳の寝室、4畳半の勉強部屋、そしてキッチンがある程度の小さな1軒屋です。お風呂はどうだったかな? たぶんあったと思いますが、もっと小さい頃に住んでいた国鉄宿舎は5軒の宿舎の中心に共同の浴場があり、順番に入っていたものです。
引っ越しが多かったので大きなステレオセットも買ってもらえず、当時、家にあったのはソニーのコンパクトなヤツ。たぶんスピーカーは16cm程度のものだったと思います。当時は家具調ステレオが流行っていた時代で、センターのアナログプレーヤー&チューナー&アンプの両脇に大きなエンクロージャーがドカンとあったのが普通だったんですけどね。
そんな頃、バンドでドラムを叩いていた友人の家で、クロスウインドのレコードを聴く機会がありました。その父親はスーパーマーケット等に卸す寿司を作っていて、羽振りが良かったようで、家のステレオセットも当時は初めて眼にするコンポ・タイプでした。残念ながら型番までは覚えていませんが、たしかサンスイだったと思います。
そこで聴くと、細かい音まではっきりと聴こえるんですね。「なにこれ?」と思いつつ、オーディオ・システムの違いで聴こえかたが全然違うと初めて認識した瞬間です。たぶんこの時が、僕がオーディオに目覚めた瞬間。その後、楽器を弾くよりも音響に興味を持って、音響の専門学校に進むことにしたわけです。という意味でも、今思うとクロスウインドは僕の人生を決めたバンドかもしれません。というバンドの名前をすっかり忘れていたとは…(笑)
すっかり忘れていたクロスウインド、そして小川銀次さんですが、Wikipediaで調べてみると、2015年に亡くなっていたそうです。僕が持っていたレコードも、引越しを繰り返しているうちに何処かへ消えてしまったし、アルバムはすでに手に入りません。2006年に発売された復刻版CDも、中古品しか出回っていないみたいですね。Amazonを見てみたら2枚目のアルバム、クロスウインド2なんか19,580円の値段が付いていてびっくりです。
でもYouTubeには音源が上がっています。音質は落ちるでしょうが、銀次さんのエネルギッシュな演奏が蘇ってきて、思わず涙ぐんでしまいます。こういう音源がYouTubeにあるのがわかると、やはりクルマの中でYouTubeが楽しめるのっていいよなぁと思います。となると、やはり今後はディスプレイオーディオの時代になるんでしょうか。
借りていた軽トラは返してしまったので、結局、軽トラのディスプレイオーディオ計画は未完成だったんですが、近いうちにマイカーにディスプレイオーディオを導入して紹介したいと思っています。
オーディオを聴くにはもちろん音質は重要ですが、いかに気に入った音楽、音源に出会えるかはもっと重要だと思っています。取材に出かけて会ったユーザーに必ず聴くのは「どんな音楽が好き?」ということと「CDはどれくらい持っている?」ということなんですが、マニアなオーディオ好きほど持っている音源の数が少なくて「?」と思う時があります。中には持っている音源がコンテスト用のものだけだったり、調整用のものだったりというケースも。そんな時は、ちょっとガッカリしてしまいます。
やはりオーディオが好きになるきっかけは、好きな音楽をもっといい音で聴いたらどうなんだろうという興味から始まるのが自然な流れだと思います。だから、音質そのものを追求するより前に、まず「こんな音楽が好き!」というものを確立するのが重要だと思います。それはアイドルだろうがアニソンだろうがクラシックだろうが関係ありません。なんだっていいんです。まずはオーディオに関してあれこれ知識を積み上げる前に、音楽を好きになること。これが重要かと思います。
話があちこちに飛びましたが、言いたいのはミュージシャンが亡くなるのは悲しいけれどレコーディングした作品はいつまでも残っていつまでも聴き続けられること、そして音の良いシステムで聴けばより感動が伝わりやすくなること、さらに音楽が好きになればなるほど、オーディオの良し悪しにも敏感になること。そのためにもいろんな音楽を聴いて、好みの音楽を見つけたいものです。
ファースト
https://www.youtube.com/watch?v=ukIiuTfTvNM
2枚目
https://www.youtube.com/watch?v=DjI3ORddwAU