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コラム

第三十三回「カーオーディオパーフェクトセオリー ブック5 実践指導! 誰にでもできる カーオーディオ調整法! !の、付属音源をより実践的に使おう!」

極!石田塾

2022.01.10

みなさん、もう仕事モードで、ちょっと前まで正月だったことはすっかり忘れているかもしれませんが(笑)2022年の一発目ということで、念のため挨拶をしておきます。

明けましておめでとうございます。2022年もよろしくお願いいたします。

さて、今回は昨年の11月29日に芸文社から発売されたムック本「カーオーディオパーフェクトセオリーブック5 誰にでもできるカーオーディオ調整法!!」について話していきましょう。

この本、前半は以前出したセオリーブック2や4の内容とほぼ同じです。カーオーディオの基本的なチューニングについて説明しているわけですから、むしろ変わったらおかしいですよね。お店に頼らずとも、自分の手でもきちんとチューニングできる方法を細かく書いたつもりです。

後半は自分好みの音に調整を少しずつ変えていく方法を、音源を使いながら解説しています。なぜ、このような構成にしたかというと、カーオーディオ・コンテスト等の出場車で、あまりに無個性なクルマが多いからです。

もちろん音のクオリティは以前に比べてものすごく上がっています。DSPが主流となった今は、着座位置によるデメリットも感じず、ホームオーディオのベストポジションで聴くような音場感が楽しめるようになったし、特性も整った良い音を聴かせてくれるクルマが増えました。が、どのクルマを聴いてもなんか同じような音がしていて、グッと引き込まれるような音のクルマが少ないんですよね。勉強のできる優等生ばかりがズラリと並んではいるんだけど、なんだか生気を感じないというか…。エモーションに欠ける気がするんです。

で、以前、コンテストの参加者に普段もこの音で聴いているの? と訊いてみたことがあります。すると、揃いも揃って全員が「普段の調整とは違います」というではありませんか。どうやら、コンテストの時にはショップが「審査員の〇〇先生に合わせたセッティング」というチューニングをしちゃうんだそうですね。原因はそれか! と思いつつ「これって意味あるの?」と思ったりもします。だから最近、僕は「イベントに合わせた特別なチューニングをしなくていいから、普段通りのセッティングで参加してください」とお願いしているわけですが。自分が気に入っている普段通りのセッティングが、個性も出るしその人なりの音の嗜好もわかって楽しいと思うわけです。

話は少しそれましたが、今回の本には自分好みの音に変えていくヒントになればと思い、スタジオで新たに録音した2曲を収録しています。自画自賛するわけではありませんが(笑)その2曲がすごくいいんです。

1曲は、1冊目というか1枚目のサウンドチューニング・マスターのCDからオープニング曲やエンディング曲でずっとお世話になっているキーボーディスト、大坪さんを中心としたユニットの「Under The Sky」という曲。アコースティック・ギターの榊原さんとヴォーカルのKAZUCOさん、そして大坪さんのピアノというシンプルなトリオによるオリジナルのバラードです。

この曲はメロディが覚えやすいし、KAZUCOさんの声が特徴的で実にいい。榊原さんのギターも所々でアクセントとなり、心に染み渡ってきます。ピッチが僕の歩くペースに合っているせいか、レコーディングで何度も繰り返して聴いた後に歩いていると、なぜかこの曲を口ずさんでしまうんですよね(笑)。そんな馴染みやすい名曲です。とはいえ、音程に少しひねくれた部分を加えているので、実際に唄うとなるとけっこう難しいんですが。

さて、この曲、実際にオーディオ機器で再生してみると、意外に難しいことに気付きました。この2曲は、昨年末のオートサウンドグランプリの試聴の際、リファレンスに使っていたのですが、スタジオのモニターでは普通に聴こえていたアコースティック・ギターの音が、へたなオーディオ機器で再生するとピアノの音に埋れてしまって聴こえづらくなっているんですね。レコーディング時の音を再現するという意味では、ギターとピアノがはっきりと分離して聴こえることが本来の姿なので、今回の試聴ではとても役立ちましたし、曲自体に力があるので、ぜひ聴いて欲しいものです。

もう1曲はツインドラム、ツインキーボード、ギター、ベースの6人編成によるインストルメント曲「Mujina」です。このバンド、実は僕が中学の時に初めてバンドを組んだドラムス、本間くんがリーダーをやっています。メンツがけっこう凄くて、ギターは東京ブラボーなどで活躍していたブラボー小松さん。ベースは町田町蔵(現在は作家の町田康)+北澤組で本間くんと一緒に演っていた西村雄介さん。遠藤ミチロウさんとも亡くなる前までジ・エンドというバンドを演っていましたね。他にも戸川純さんのバックにいたキーボードの人や本間くんの師匠の北澤さんなど、強者揃いです。

基本、フリーインプロビゼーションというか即興演奏が中心のバンドなので、この曲は1発録りで録っています。といっても、まずは5テイクくらい撮ったものの、久しぶりのレコーディングで緊張していたためか、なかなか納得いく出来のテイクが録れず途中でフリーの曲を数曲演奏。セッティングを少し変えて夕食を済ませた後に録った曲の出来が素晴らしかった。これが本CDに収録された曲です。ブラボーさんなんか、ギターのフィードバックが欲しいからと、わざわざ小さなブースに設置していたアンプの部屋に篭っていましたからね。もう1曲やって、と言ったら耳が壊れていたでしょう(笑)。

この曲は最初のミックス時に2人のドラムがともにセンターにいるように配置していたのですが、途中で9時/3時の角度で左右に分けるようにしてもらいました。そしてセンターにはベース。これでツインドラムの立体感が出たと思います。またベースがセンターでどっしりとリズムを支えているので、安定感がありますよね。

ギターのプレイは、さすがブラボーさんという感じなんですが、個人的な聴きどころはキーボードの音色。レコーディング時から「あのキーボードの音、すごく良いね」と言っていたモーグのキーボードなんですが、音の良いオーディオで聴くと、そのリッチな雰囲気がはっきりと出るんです。これはレコーディング現場にいたからこそわかることですが、オートサウンドグランプリ試聴時の判断基準のひとつになりました。あと、ドラムスの細かいおかずとかシンバルの音色なども聴いてみてください。

僕はCD用にダウンサンプリングする前のハイレゾ音源をもらって、それを試聴用に使っていましたが、残念ながら一般の人には手に入りません。手に入れられるのは、今のところ付属CDに収録されている44.1kHz/16bitの音源だけです。ただ、多くの人にハイレゾで聴いてもらいたいと思っているので、どうにかハイレゾ音源をリリースできないものかと現在画策中です。ハイレゾ音源を販売できるようになったら、またお知らせしますので、お楽しみに。

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