第44回「大阪オートメッセレポート」
極!石田塾
2023.02.21
2月といえば大阪オートメッセの季節。今年は3年ぶりに行ってきたので、その報告をします。いや、実は昨年も会場の前までは行ったんですよ。でもインテックス大阪の屋上駐車場に予約が無いと入れないシステムに変わっていた上に、その前の年がコロナで中止だったため今年は数万人の来場が予想されると聞いて「感染したらどうしよう」とビビっって入場を止めたんです。完全なビビリです(笑)。というわけで3年ぶりの大阪オートメッセ です。
カーオーディオ好きがまず目指す場所といったら、真っ先に6B号館ですよね。ここには例年、AVカンサイを始め、多くのハイエンド・カーオーディオのデモカーが集結しています。今年は残念ながらコロナ発生前に比べて出展数が減っていて、ショップのデモカーはAVカンサイのみ。オーディオテクニカはいないしダイヤトーンもいない、エムズラインもいないという少し寂しい状況でしたが、集まっていたクルマはクオリティの高いものばかり。しかも音が一皮剥けたように進化していて、カーオーディオも新しい時代に変わったことを感じさせます。では1台1台見ていくことにしましょう。
入り口にいちばん近い場所にあったのが、ディナウディオやヴェンチャーオーディオ を扱っている佐藤商事のデモカー、BMWです。まず、このクルマの音にド肝を抜かれました。ヴェンチャーオーディオのスピーカーを中心に組み上げたシステムで、最も高いユニットを選んで装着しているので、ツイーターだけでなんと約120万円弱。おそらく現時点では最も高額なスピーカーでしょう。クアトロリゴのパワーアンプ4台やDSPなど、もろもろを含めオーディオだけで1千万円を超えるクルマです。インストールを担当したのは青森・八戸のイングラフですが、なんとお客さんの個人所有のクルマとのこと。八戸には剛気な人がいるもんですね。
その音ですが従来のカーオーディオの概念を打ち破る太く濃密な空間を作り出します。特に感じたのはオーケストラを聞いた時。スケール感が、音の良いホームオーディオで聴いた時と同じ感覚なんです。しかもタイムアライメントをキチッと取っているから、特等席で聴いている感覚。さすが、ハイエンド・カーオーディオ・コンテストで優勝したこともうなづけます。
ただし、ヴェンチャーオーディオのスピーカーは基本、ホームオーディオ用がベースだから、取り付けには苦労するでしょう。なにせ、マグネットの直径とフレームの直径がほとんど一緒だから、普通にバッフルに穴を開けただけでは取り付けできないんです。そのへんを承知の上でなおこの音が欲しいなら、魅力的なスピーカーと言えるでしょう。
ちょっと長くなってしまったので、これからはさらりといきます。その隣のAVカンサイのジャガーFタイプは自然さが魅力の音でした。音を作っている感じがまったくしない。ロシア製のRESOLUTのDSPを使っており、このクオリティの高さも一因でしょうが、最も大きいのはAVカンサイが長年に渡って積み重ねてきたインストレーションのノウハウでしょう。数多くのクルマをこなしてきたからこそ、クルマを見れば鳴りかたの傾向がわかって、それに対処したインストールができるわけで、最近はイコライザーで調整することはほとんど無いとか。つまり素の状態でフラットな特性を作り出しているわけで、それが出てくる音にも反映され自然に聴こえるのでしょう。
その隣が、トライムのアウディ。オーディソンのDSPアンプとブラムのスピーカーの組み合わせで、前の2台に比べるとシステム総額はかなりお安くなっていますが、音は十分にハイエンド。僕なら、これで大満足です。しかもデモでは音源にDAPを使用していましたが、ハイレゾ対応のBluetoothレシーバー、B-CONを搭載していて、ワイヤレスで気軽にスマホの音を楽しむことができます。この手軽さが大事。使い勝手と手軽さ、そして高音質を両立したクルマでした。
その隣はフェリソニのBMW。DLSのスピーカーとクアトロリゴのパワーアンプを搭載したデモカーの音はもちろん良かったのですが、ユニークな新製品を持ってきていました。ひとつはリベット止めの工具まで同梱したVW用のトレードインスピーカーDIYを意識した商品で「工具にメーカーのロゴが入っていなくてもなぁ」ということなかれ(笑)。DLSなどのマニアックな商品は取り付けを専門店に任せることがほとんどだと思いますが、専門店に頼らず自分で取り付けるという方向性を示したことは、DLSとしてはある意味画期的と言えるでしょう。薄型のサブウーファーやパワード・サブウーファーも取り付けやすさを意識したものでしょう。
最後はジャンライン&パートナーズの三菱アウトランダー。このクルマはアークオーディオ のDSP内蔵アンプでモレルのスピーカーを鳴らすという構成。インストールは福井・敦賀のマリノサウンドが担当していますが、クリアでヌケの良いサウンドが気持ち良いクルマでした。デモ時はDAPを使っていましたが、隠れた注目はセンターコンソールに置いたオットキャスト。これがあれば、車載器がスマホ同様に映像や音楽をストリーミングで楽しんだり、ゲームができたりできるので、東京から大阪への移動時はもっぱらストリーミングで音楽を楽しんできたとか。これ、便利です。
6B号館にあったデモカーはこれでおしまいですが、2号館に展示していたカロッツェリアは最新の楽ナビやディスプレイオーディオのDMH-SF700を展示し、クルマWi-Fiをアピールしていましたし、5号館にあったアルパインも新型のディスプレイオーディオ、DAF11Zを展示し、スマホとの連携をアピールしていました。5年ほど前は、クルマで聴くのはCDが当たり前だった時代でしたが、それがDAPに代わり、高音質派に向けたDAPは残るものの、今や普通の人はストリーミングで音楽や映像を楽しむ時代。コンテンツ関係の大きな変化の流れの中にいることを実感したイベントでした。