第56回 「AUTO SOUND WEB GANDPRIX 2024」
極!石田塾
2025.01.15
年が明けてずいぶん日にちが経ってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。雪が少なかった昨年と打って変わって、今年は体感で3倍くらい雪が多く、元日からの雪かきでめでたい感じは1ミリもありません(笑)
今回は昨年末に発表されたオートサウンドWebグランプリの話題です。ゴールデンアワードは前回お届けしたカロッツェリアのTS-V174Sに決まり、コルトレーンでもデモ機を用意したとのことなので、視聴したかたもいると思います。良い意味でカロッツェリアらしく無い部分が多々ある、音楽が楽しく聴こえるスピーカーです。その辺は、前回たっぷりとお届けしたので、今回は他の注目モデルを紹介していきましょう。
まずブラムの新しいフラッグシップ・スピーカー、シグネチャー・マルティックス・バレルです。このスピーカー、ブラムが誕生して10周年を記念して作られただけに気合が入っています。ウーファー、ミッドレンジ、ツィーターの3ウェイ・システムなんですが、ウーファーの磁気回路が特徴的。10個のティアドロップ型ネオジウムを使ったマルチマグネットで、フレームとも相まって革新的なデザインです。装着すれば見えなくなってしまう部分ですが、こんなところにも気をつかっているのが、いかにもフランスっぽいですね。
そしてツィーター。なんと、好みに応じて3種類用意されているんです。ひとつはオーソドックスなソフトドーム、次にマグネシウム、そしてAMTの3種類です。これらを、ユーザーの好みに応じて選べるんです。通常、メーカーではひとつのシステムでは1種類のツィーターだけを用意し「これがこのシステムの音です」と提供するのが一般的なんですが、メーカー側で3種類のツィーターを用意して「好みに応じて選んでください」とするのは、ある意味画期的と言えるでしょう。
個人的には音が最もはっきりと伝わりインパクトの強いマグネシウムが好みでしたが、もっと優しい鳴り方を好む人ならソフトドームを気に入るでしょうし、より繊細で深い鳴り方がほしいという人ならAMTが合うかもしれません。この辺りは、個人の好みなのでお任せです。が、どのツィーターを選んでも、基本はブラムらしい音で、特にボーカルの生々しさは天下一品。円安によって価格は上がっていますが、これなら十分に満足できるでしょう。さすがギーさんというスピーカーです。
円安で高いといえばパワーアンプもそうで、100万円近い、または100万円を超えるアンプがザラになってきました。こうなるとなかなか手が出せないんですが、それでも「金があったら欲しい!」と思わせるアンプがクアトロリゴのINGOT3というアンプです。最近、AVナビの内蔵アンプの性能が良くなっていて、ちょっと良くなったくらいでは「欲しい」とまではならない外部アンプですが、久々に「欲しい!」と思ったアンプです。金が無いので買えないですが(笑)
このアンプは110Wのモノラルアンプが2台のセットで、世界限定125セットという貴重品。そのうち日本に何セット入荷されるのかは定かではありませんが、昨年末にメーカーに確認してもらったら、在庫はまだあるそうです。このアンプが素晴らしいのは、音に立体感があること。おそらくペアマッチが入念に取られているんでしょう。左右の誤差は全く感じないし、モノアンプ2台の良さでお互いの干渉なしに音場を立体的に描いてくれます。だから音がリアル。純A級の良さで音は瞬時に立ち上がるし、欲しい音が前面に出てくる感じの抑揚感も素晴らしいものです。このアンプ、聴く機会はなかなか無いかもしれませんが、もしチャンスがあったらぜひ聴いてみることをお勧めします。
他にも、新社長のジュリアン君が手掛けたブラックスのデジタルアンプなど注目モデルはありましたが、今回のオートサウンドWebグランプリの試聴で突出していたと感じたのは、ブラムのスピーカーとクアトロリゴのパワーアンプ、そしてゴールデンアワードを獲得したカロッツェリアのスピーカーの3モデルでした。