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コラム

第三十五回「続、オーディオの自由度を上げるテクニック」

極!石田塾

2022.04.06

今ウクライナではロシアが軍事行動を起こし、場合によっては核戦争にまで発展する恐れがなきにしもあらずなので「それどころじゃない」と心配している人も多いと思います。が、心を落ち着かせるには音楽が有効な手段のひとつ。ここは、このコラムでも読んで心を落ち着かせてください。

さて、今回は前回に引き続いてマイカーのスバルR2のオーディオの話です。このシステム、簡単に付けたのですが音はとっても気に入っています。その理由のひとつに、音が頭の中にたまらないというのがあります。

音像の定位の仕方は頭内定位と頭外定位のふたつに分かれます。頭内定位は脳内定位と言ったりもしますね。頭内定位はイヤホンやヘッドホンで聴いた時に感じやすい定位感で、音が頭の中にたまって聴こえてしまうんですね。僕は、この頭内定位の音が大の苦手で気持ち悪くなってしまうので、必要がある時以外はヘッドホンで音楽を聴くことはありません。

対して頭外定位は、普段ホームオーディオで聴いているように目の前の空間に音像が定位するような状態です。ライブなんかもそうですね。特に野外ライブだと、奥の壁から反射して跳ね返ってくる音がないので、自然に頭外定位で音楽が楽しめます。僕が野外ライブ大好きなのも、この原稿を書いていて理解しました(笑)

ところがカーオーディオの場合、意外に頭外定位のものが少ないんですよね。特に低音。高音から中音域にかけてはフロントウインドウのあたりに音像が定位していても、低音だけはなんか頭の中にたまってしまって、なんか気持ち悪さが残ってしまうクルマが多いんです。

おそらくこれは、サブウーファーの多くがドライバー(リスナー)の後方のラゲッジルームなどに設置されているというカーオーディオ特有の事情に起因するものでしょう。低音は指向性が弱いので調整によっては前にあるように聴こえるとも言いますが、やはり後ろに設置しているものは後ろで鳴っているんです。それを前で鳴っているようにタイムアライメントをかけて調整するために、完全に位相を合わせきれなくて頭の中にたまったような音になってしまうんでしょう。はっきりとした理由はわかりませんが、僕はこのように推察しています。

僕も、これまでのクルマで、この状況をどうにか解決できないかとさんざん調整してみましたが、完全に解消というところまで至ったことはありませんでした。どんなに頑張っても頭のなかに低音がたまってしまうような気持ち悪さが残ってしまうんです。

それが、今回のR2では完全に解消しています。定位は完全に頭の外。気持ち良いほどの頭外定位です。それはサブウーファーにTS-WX010Aを使ったことが大きく影響していると思います。CSTドライバーだけだと低音が足りないだろうけど、あまり大袈裟なサブウーファーを積むのもイヤだなと思って何の気なしに選んだサブウーファーですが、思わぬ効果があったものです。

特にベースの音が前方の中央でどっしりと鳴っているのには感激。CSTドライバーは位相特性の良さが気に入って選んだのですが、その良さを引き立ててくれます。もちろん、もっと分解能が高ければなぁとか、もっとローエンドが出ればなぁと思う時もありますが、1万5000円そこそこの価格でこれだけの音が手に入るのなら文句は言えません。この良さは、もっともっと広めていきたいと思っています。

ちなみにコルトレーンが作り出す音も頭外定位のクルマが多かったなぁと思い出しました。それは、コルトレーンではあまりサブウーファーを使わず、フロント2ウェイのケースも多いことが関係していると思います。スピーカー構成はシンプルなほうが調整しやすいし音の仕上がりも良くなりやすいということがわかっているんだと思います。

気に入っているついでに、もう少し音を整えようと思い車内音響特性を測ってみました。使ったのはetani RTAというiPhone用のアプリ。すでに提供が終わっているアプリですが、簡単に音響特性を見るには重宝するアプリなので、OSのバージョンアップによって使えなくなるまでは持っておくつもりです。

その測定結果ですが、やはり160Hzや200Hzのあたりの音圧が落ちていて、125Hzから下がいきなり上がっています。TS-WX010Aの内蔵ローパスフィルターを切ることができず、もっとも高い数値に設定しても125Hzでローパスがかかってしまうため、それより少し高いあたりが薄くなってしまうんでしょう。これを均すためにサブウーファーのレベルを全体的に下げることも考えましたが、走行中はロードノイズで低音が消されて物足りなくなってしまうため、サブウーファーのレベルは落とさず、160Hzあたりをイコライザーで2dBほどあげるという方法を取りました。

その結果、250Hzあたりに少し谷はあるものの、けっこうなだらかなカーブになりました。聴感上でも、気になっていた中域の薄さはかなり解消された印象です。逆に測定上では31.5HZあたりに大きなピークが出ています。これはおそらく、内装材のビビリによるものでしょう。音量を落とすと聴感上ではまったく感じられないので、とりあえずはこの調整でいこうと思います。

この音を皆さんに聴いてもらいたいと思い、イーストジャパンサウンドコンテストにエントリーしようと思ったのですが、なぜか断られてしまいました。おそらく、僕に下の順位が付いたら申し訳ないと思ったんでしょう。僕としては順位なんて全然気にしていなくて、多くの人に聴いてもらいたいと思っているだけなんですけどね。

まあ、各地のイベント等にはこのクルマで出かけたいと思っているので、見かけたら声をかけてください。おそらくヘッドユニット&スピーカーを含めてシステム総額20万円もかかっていない音にきっと驚いてもらえると思います。

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