第一回 「カーオーディオとハイレゾ」
極!石田塾
2019.09.17
オーディオマニアやアニソン好きの間では大いに盛り上がっているハイレゾ。その割には、普通の音楽ファンへの浸透度はイマイチな感じはあるのだが、カーオーディオでもケンウッドの彩速ナビやカロッツェリア・サイバーナビ、パナソニックのストラーダ等、ハイレゾ再生が可能な機器が増えてきて、盛り上がりに期待したいところだ。
そんなハイレゾ音源、なにがいいかって、レコーディング時と同じクオリティの音源が手に入ることだ。今時のレコーディングスタジオ、ほとんどがデジタルで録音している。96kHz/24bitだったり、192kHz/32bitだったり。レコーディング時のもともとクオリティはハイレゾというわけ。CDにするときはそのハイレゾ音源を44.1kHz/16bitにダウンコンバートしてパッケージ化している。
つまりCDの音をMP3などに圧縮するように、レコーディング時の音源からみれば、CDは圧縮音源というわけ。それが、ハイレゾ音源ならレコーディング時の音源そのまま(といっても32bitを24bitに変えたりするものもあるが)というわけだ。アナログレコードの再生が無理なクルマの中では、現在もっとも優れたクオリティで再生可能な音源といえる。だからクルマの中で少しでも良い音で音楽を楽しみたいなら、ハイレゾを再生できる環境を整えるべきだと思う。
ただし、ハイレゾが一般にイマイチ浸透しないのは、ハードに比べてソフトがそれほど増えていかないからだと思う。ハイレゾ音源を供給している側の声として聞こえてくるのは、売れているハイレゾ音源はアニソンとクラシック、それにビッグネームのジャズやポップスだけとのこと。アナログレコードがCDに置き換わった時には一気にソフトが充実したので自然に新譜が出たらCDを買うクセが身についたが、ハイレゾの場合そうもいかない。まずハイレゾ配信サイトで調べて、無かったらCDを買う。僕がマニアックな音楽を好んで聴くからかもしれないが、e-onkyoなど日本のサイトではもちろんのこと、HD Tracksなどの海外サイトでも見つからないことが多く、しかたなくCDを買っているという現状。この状況が変わらない限り、ハイレゾの普及は一気には進まないのではないか。
とはいえ、音源のクオリティとしてハイレゾが優れているのは事実。聴きたい音楽がハイレゾで出ていたら迷わずハイレゾを手に入れ、クルマをハイレゾが聴ける環境に整えて、なるべく良い音で音楽を楽しみたい。
その時、問題になるのはプレーヤーだが、これは難しいところ。今、クルマでハイレゾを楽しむにはハイレゾ対応のDAPとハイレゾ対応のDSPを組み合わが主流。だが、このあたりはまだまだ過渡期。高いDAPを買っても、すぐにより優れた新製品が出てきそうだし、DSPもまだまだ進化しそうだ。このような現状では、機器に多くの投資をするよりも、まずはソフトを充実させるほうが賢明だと思う。もちろん、お金が有り余っている人なら別だが、新製品が出た都度、機器を買い換える羽目になりそうだからだ。
そして機器がある程度落ち着いた時に、よく吟味して長く使える製品を選ぶのが賢い方法かと思う。カロッツェリア・サイバーナビのXシリーズなら、かなり本格的なハイレゾサウンドが楽しめるし、ヘリックスDSP PROと数万円クラスのDAPやスマホでも十分。まずは、ハイレゾをクルマで聴ける環境を整えたい。