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コラム

第七回 「純正ディスプレイ・オーディオのグレードアップ」

極!石田塾

2019.11.20

9月にカローラがモデルチェンジして、10月の販売台数ランキングでは11年ぶりにトップに返り咲いたそうです。今回登場したのはセダンとツーリングですが、その内装を見て驚いたのは、ディスプレイオーディオ(DA)が標準装備されていたことではないでしょうか。そうなんです。これまで当たり前に付いていたカーナビが無く、スマホをつないで車内のディスプレイに地図を映すスタイルなんです。

このDAは、この先モデルチェンジする予定のアルファードやヴェルファイアにも採用される予定との噂。トヨタがオーディオのDA化に踏み切ったということは、おそらく他メーカーにも広がり、これまで2DINサイズが基本だったクルマのカーオーディオは激変する可能性があります。

どうなるかというと2DINサイズが基本だったこれまでのカーナビは、クルマに装着するのがとても難しくなります。今までも、輸入車を中心に2DINのスペースが無かったり純正システムを外すとエラーが出て入れ替え出来ないなど、システム変更には様々な苦労があったのですが、それが国産車にまで広がるとよりオーディオのグレードアップが難しくなりますよね。

となると、オーディオを替える人が少なくなるのでは? という危惧が生まれます。たぶん、それで我慢する人は増えると思います。でも我慢できない人は、どうにも我慢できなくてあれこれ策を考えるでしょう。それが正しい音楽好き、オーディオ好きというものです(笑)。

では、どんな策が考えられるでしょうか。まず手っ取り早いのはスピーカーの交換です。これでもかなり変わります。ただ、DAを標準装備化するひとつの理由はコストダウン化。新型カローラを扱ったことがあるカーオーディオ・ショップによると「カローラの純正DAの音はかなりひどい」という話も聞こえてきているので、スピーカーを替えたとしても、元々の音が良くないのであれば、根本的な音質向上には繋がらないでしょう。

となると八方塞がりのようですが、対策はまだまだあります。先日、オートサウンドWebグランプリの試聴があり今年の新製品を約15機種ほど試聴したのですが、その中に気になるモデルを発見しました。マッチのM-5DSP MK2です。

この5チャンネルアンプを内蔵した7chプロセッサーは、サイズが110×85×35mmととてもコンパクトですが、高い実力を持っています。ほかにも15万円前後のアンプ内蔵DSPが2台ほどあって比較試聴できたのですが、音はこのモデルが突出して良く他のモデルが霞んでしまったほどです。それほどよくできています。

内蔵アンプが5chなので、スピーカーが3ウェイだと対応できませんが、2ウェイだったらフロントスピーカー+サブウーファーを、コントロールできます。これが95,000円(税別)で、あとは音楽プレーヤーを加えるだけ。光入力があるので、ここにDAPなどを接続すれば、音源からハイクオリティな音が楽しめるシステムに変わります。あとはリーズナブルなものでいいからスピーカーを入れ替えて綿密に調整すれば、かなりの音質向上につながるはずです。光出力付きのDAPを持っていればスピーカーも含めて20万円前後〜でシステムアップが可能ですかね。コストパフォーマンスは良いと思います。

もっと予算に余裕がある人なら、DSPを使ってさらなる音質向上が望めます。DSPはヘリックス、オーディソンなど、多くのメーカーから出ています。最近ではブラックスから82万円のDSPが出ましたね。最上級の音を求めるなら、これに同じブラックスのパワーアンプ、Matrix MX4なんかを組み合わせると最高ですよね。単体DSPは、好みのパワーアンプを組み合わせられるのも魅力です。

ただ、いつも思うのが、これでプレーヤーを内蔵していればということ。DAPが無造作に置いてあったり、ケーブルが車内でぐちゃぐちゃしていると、どうしても気になってしまいます。でも、プレーヤー内蔵のDSPって、ETANI ONEくらいしかないんですよね。これ、位相も自動調整してくれて素晴らしいんですが、なにしろ高い! 88万円です。おいそれと買えるものではありません。

そんな時、ザプコからプレーヤー内蔵のDSPが出ました! HDSP-Z16V AD-8AとHDSP-Z16V AD-16Aの2種類あって、AD-8Aは出力が8chと少ないけど、192kHz/24bitまでのハイレゾ音源を再生可能。AD-16Aは出力が16chもあってシステム構成の可能性はグンと上がりますが、代わりに動作サンプリングレートは96kHz/24bitとなります。システムに合わせて選べる形ですが、個人的には最大でもフロント3ウェイ+サブウーファーをコントロールできればよいと思っているので、AD-8Aを選びますかね。まあ、この辺はそれぞれのシステムに応じて選べばよいと思います。

これがあれば、USBメモリーに貯めたハイレゾ音源を聴き放題だし、選曲はコントローラーでできるからいちいちDAPで曲を選ぶよりも使いやすいと思います。なにかの写真で、コントローラーに日本語を表示しているのを見たことがあるので、おそらく日本語での曲名表示等もできると思います。また、日本ではまだアナウンスされていませんが、本国サイトをみると中のチップを替えてアップグレードができるようです。これは楽しみですね。

これに好みのアンプを加えて、好きなスピーカーに入れ替えて聴けば、純正DAとはまったく異なるハイクオリティな音で音楽が楽しめるのは確実。たとえクルマの純正オーディオが変わってDAが主流になったとしても、心配することはありません。各オーディオメーカーも、その辺の対応は考えているようで、今後はAVナビに変わる新しい形のAV機器が出てきそうです。

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